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ダイスン

Arsenalとその他もろもろ

契約更新しないサンチェスをキープするというリスキーな選択

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BBC SPORTSより「サンチェスはプレミアリーグのライバルには行かないとヴェンゲル語る」。

www.bbc.com

 

「(サンチェスを)プレミアのライバルに売るってことはない。それは確かだ」

「ていうか、前にもいったけど、彼は残るし新契約にもサインすると思う」

 

このプレス会見では自身の去就についても語っているが、あいかわらずアベ政権ばりにのらりくらりなので省略しよう。3月か4月にははっきりさせるっていったくせに。

 

そしてArsenal公式サイトでは同会見から「ヴェンゲル・なぜアレクシスが残ると思うか」という記事を掲載。

www.arsenal.com

 

「契約というものは最後まで全うするものだろう。アレクシスは4年契約でまだ25%も残っている」

 

「いつもよく考えなければならない問題は、まず(アレクシスよりも)いい選手が見つけられるかということと、それにどれだけの金額を費やすかということだ。なにしろ今日のインフレはすごい。数学的に考えれば(新契約がなくても)契約の最後まで選手をキープすることはアドバンテージたりうるんだ」

 

「とはいえ、個人的にはアレクシスは新契約にサインするし残ると思うよ。第一彼はここで幸せだしね。彼は残りたいと思っているよ。それがわたしが強く信じていることだ。契約更新にいたっていないのは、純粋に契約上の問題であって彼の要望じゃない。クラブも彼のほうも着地点を探そうとしているよ。だから、契約更新はされるんだ」

 

「ファン・ペルシを契約の最終年に行かせたのは彼が29才でもう30才になるところだった。長期の契約も結んでいた。これはアレクシスのケースとは違う。アレクシスは28才。小さな違いだけどね」

 

「エジル? 彼もアレクシスのケースと似ている。すべて夏に決まるよ」

 

RVPのくだりはツッコミを入れたい。何をいってるんだあんたは。

それにしても、メディアによってはいかにも「ヴェンゲルがアレクシス残留を明言」という切り口でも記事を書けそうな内容ではある。

 

しかしヴェンゲル発言があてにならないのは拙ブログでも以前に書いたとおり。

blog.diesoon.com

 

選手の放出に関しては、過去に舌の根の乾かぬうちに発言を覆すような行動を幾度も取っている。ゆえにヴェンゲルの選手残留宣言は本当に当てにならない。

 

f:id:diesoon:20170426125112j:plain

※写真はArsenal公式より

 

新契約なしで選手を保持するというリスク

ところで、今回のヴェンゲル発言では契約更新しないアレクシスを、あえて契約終了後にフリー移籍されるリスクを負いつつもう1年残すという選択肢があることが示唆されているわけだが、クラブにとってさすがにリスクが高すぎはしないだろうか。

新契約なしで選手を保持するということは、3つのリスクがあると思っている。

 

1 高額な売却益を丸損

ひとつは、もちろん高額で売却する機会を損失するということ。シティやチェルシーといったサンチェスの獲得に強い興味を持っているクラブは、50Mポンドあたりのオファーを考えているようだ。いうまでもなく残り契約1年の選手にこの金額は破格である。この収入がまるまるゼロになるわけだ。

これについてはヴェンゲルのコメントから、そんなことは重々承知、そのうえでサンチェスをキープすることにメリットがあると考えているらしい。もし本当にそれを行うことが可能なのだとしたら、アーセナルのような世界有数のリッチなクラブだけに許された選択だろう。

 

2 いずれにせよサンチェスは1年後行きたいクラブに行く

契約が切れるということはそういうことだ。チェルシーだろうがマンシティだろうが、サンチェスは自分が行きたいクラブを選べる。チリ人の仁義とか期待しないほうがいい。

ヴェンゲルはライバルクラブに益することはしないといっているが、それもたった1年の猶予である。得るべきだった50Mポンドを失ってなおかつ直接のライバルにフリー移籍され50Mポンド分の利益をもたらす。いくらサンチェスとはいえ、ひとりの選手を1年キープすることの対価としてはキツすぎないだろうか。

 

3 サンチェスのモチベーション

これが一番大きい問題だろう。アーセナルがいざもろもろのリスクを負って彼をキープしたとして、果たしてその1年サンチェスはこれまでのように活躍できるんだろうか。この件でクラブ内で議論があったとしたら、真っ先に懸念が表明されるのがこの部分だと思われる。

契約を更新しないということはつまりクラブを離れたいと思っているのだ。週給25万ポンドなら契約更新だって? 彼はクラブでハッピー? そんなもの信じるか。サンチェスは出て行きたいのだ。強いクラブでトロフィを掲げたいのだ。残りたいなら契約は更新する。つまり自明である。

クラブを離れたいと思っている選手が何をクラブに捧げられるだろう。苦しいときにがんばれるだろう。チームメイトを鼓舞できるだろう。

チーム内での空気も考慮されるべきだ。チーム内に自分たちと明らかにモチベーションのレベルの異なる選手がいる。しかもサンチェスはアーセナルにおいてもっとも影響力のある選手といっても過言ではない。若手からはたびたび闘志や姿勢が賞賛されているしキャプテンシーもある。そんな中心選手を信じられないようなチームが本当に強くなれるんだろうか。

とくにメンタルに問題があるといわれているアーセナルのようなクラブで、このような事態は絶対に避けたいところだ。

 

サンチェスとヴェンゲルの話し合い

ただ、今回のヴェンゲルの強気な発言からは、そのあたりについてサンチェスとコミュニケーションが取れているという可能性も垣間見える。

 

先月「アーセナルとの契約を全うする」と発言したサンチェス。このときすでにヴェンゲルから契約更新しなくとも契約の最後までどこにも放出するつもりはないと知らされていたのかもしれない。

www.theguardian.com

 

懸念されるプレイのモチベーションについては、サンチェスならたとえ1年後に退団が決まっていたとしても全力を尽くすのは「プロなら当たり前」とでもいいそうだ。サンチェスのような選手のそのようなことばをヴェンゲルが素直に信じたとしても不思議ではない。ときに自分の選手を信じすぎるのもヴェンゲル監督だ。

 

また、ライバルクラブへの移籍については、もしかしたら1年後にイングランドのライバルクラブに移籍しないという約束をしているのかもしれない。本当にそれをやられたらアーセナルにとってはたまったもんじゃないからだ。

ただ過去に報道されたように、サンチェスが「強いほうのロンドンのクラブに行きたい」という希望を持っているなら、この約束にはサンチェスサイドのメリットがないから、何かとバーターになっていると考えるほうが自然であるが。それはなんだろう?

 

いずれにせよ、契約更新を拒否している選手を1年だけ残すというのは、どんなクラブにとってもかなりの冒険であることは間違いない。