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ダイスン

Arsenalとその他もろもろ

アーセン・ヴェンゲルを解任することの難しさ

フットボール

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アーセナルにまつわるブログエントリをほとんど毎日15年も続けているという、グーナー御用達ブログArseblog。このブログ主Andrew Mangan氏が、ヴェンゲル退任問題について米ESPNに寄稿した記事がなかなか興味深かった。

 

www.espnfc.com

 

「ヴェンゲルの退任でアーセナルのすべての問題が解決されるわけじゃない」という記事、要約すると

  • イヴァン・ガジディス(※アーセナルCEO)はかつて、ヴェンゲルの偉大な功績ゆえに後任探しの困難さを指摘した
  • ヴェンゲルはクラブの全権を握るマネージャーだ。現場コーチから選手の契約まで何でもやる
  • 今日そんなことをやりたがる監督はいないし、そんなことを監督にやらせてるクラブはない
  • ヴェンゲルを解任するということはそれらをこなす人材を改めて揃えること
  • フットボールへの理解ある人材が必要なら事態はもっと深刻
  • バイエルンにはルンメニゲがいるマティアス・ザマーがいるラームが(たぶん)いる。アーセナルのボードメンバーは全員フットボールへの情熱のないビジネスマンだ
  • どうすんだ

 

結局、ヴェンゲル問題=アーセナル経営問題なんだと改めて考えさせられる記事だった。

もちろん、この20年間でアーセナルFCをヨーロッパのエリートクラブの一員にしたヴェンゲルの功績については疑いがないが、大きな失敗はないかわりに大きな成功もできなかった近年、彼が誰にとって一番都合のよい存在だったかといえば、それは経営陣にほかならない。

リーグ優勝を争うライバルよりいつも少ない投資で、どんなに悪くても4位以内を死守という結果を残し続ける手腕。大きな投資をギャンブルと呼び徹底してリスクを避けようとする手堅いやり方は、優勝を求めるファンからは不評であったけれど、ビジネス的観点からはこれほど有能な監督もいなかっただろう。

 

f:id:diesoon:20170218113954j:plain ※Ivan Gazidis 写真はArsenal公式より

 

長期間に渡りこのやり方を積極的に推進していたヴェンゲルが、成績不振でアーセナルの監督を退くということは、クラブの経営方針自体を改めて見直さなければならなくなることを意味する。

 

 

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もうひとつ、Arseblogの昨日のエントリでexcellent pieceと言及されていた、Amy Lawrenceによる記事「アーセナルとアーセン・ヴェンゲルはもっともつらい決断に準備を」

www.theguardian.com

 

も興味深いものだった。要約しよう。

 

  • ヴェンゲルはバイヤン戦の後半は"jaded"と語った
  • 辞書で調べたけど「jaded(溺れてダメになる/疲れ切る/散り散りになる)」ってことば、まあピッタリだね
  • でもアーセナルはバイヤン戦だけでなく、ずーっとjadedだったんじゃないかな
  • 5-1ってそんなに悪い? これまでにも8-2のマンU戦、6-0のチェルシー戦、4-0のミラン戦とかあったでしょ
  • ヴェンゲルはのんきに3月か4月に去就を決めるなんていってるけど、ヴェンゲルとクラブはすぐにでも決めるべきなんじゃないか
  • でもヴェンゲルとクロエンケ(※アーセナルFCオーナー)の関係がそれを難しくしてる。この件についてヴェンゲルとクロエンケ以外はただの外野だ
  • クロエンケはヴェンゲルを信奉していて現状のビジネスにも満足しているし、ヴェンゲルは監督を続けたい
  • ヴェンゲルとクロエンケがひざを交えて話しあってるなんて想像できない
  • アーセナルの未来は、ヴェンゲルの自己分析にかかってる。クロエンケは待つだけ
  • ガジディスはじめ、ほかのボードメンバーはなにもしない
  • ヴェンゲルにとっては厳しい選択になる
  • 次の監督にとっても大変な仕事になることはわかっているから、アーセナルが来たるべき大きな変革に慎重になっているのはわかる
  • でも、バイヤン戦の惨敗という危機的状況においてさえ、ほかのトップクラブの監督たちと比べて壊滅的な状況にいるわけではない
  • 早くなんとかしたほうがいい。早けりゃ早いほどいい

 

この記事、難しい単語がいっぱい出てきてさすが高級紙ガーディアンという感じ。正確に読めたかあまり自信がないので気になる人はオリジナルを読もう。

 

f:id:diesoon:20170218122318j:plain ※Stan Kroenke 写真はArsenal公式より

 

すでにアーセナルからはヴェンゲルに契約延長のオファーは出ていて、クロエンケはヴェンゲルのお返事待ちということで、ヴェンゲル・アウト!の大合唱のなかで独りでしなければならない決断は、いずれにせよヴェンゲルにとってはつらい作業になるはずだ。

 

この記事ではヴェンゲルの自己分析と書いているが、自身のフットボール中毒、クラブ愛、クラブの現在の状況、自身がクラブや選手に与える影響などもろもろを鑑みて、決めてもらうということになるのだろうか。20年以上だからね。そりゃあ難しいだろうさ。辞めるならアーセナルに残る気はないそうだし。

ただこの調子で4位以内にすべりこんでも、もはや続投を信じるファンはいないだろう。この記事でシーズンチケットのことについても触れられていたけれど、ファンの心情を考慮すれば、事実上続投の判断はない。

 

棋士は投了前に気持ちの整理をする時間を考えて持ち時間を使うというけれど、すでに気持ちの整理する時間に入っているのかもしれない。