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ダイスン

Arsenalとその他もろもろ

英国人フットボーラーはなぜ海外でプレイしないんですか問題

フットボール

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「フットボールチャンネル」ってサイト。記事のページネーションがとにかく細切れでぼくが嫌いなタイプのウェブサイトであんまり訪れたくはないのだけど、東本貢司さんの署名記事ということで読んだ。

 

www.footballchannel.jp

 

外国人が多いEPLに何か問題が?

「インヴィンシブルズ」から始まり、外人選手偏重のプレミアリーグから英国魂が損なわれていることを憂うという記事。

短いコラムなので、コージーさんが本当はなにをいいたかったのかよくわからなかったが、リーダーになれる経験ある優れた英国人選手がどんなチームにとってもいたほうがよいとか、外人偏重は本来改めるべきとか、監督にもっと時間を与えれば英国人選手を育ててくれるのにとかそういうこと? 「悪循環」が何を指しているのかがわからない。「イングリッシュ・スピリット」とは一体何のことなんだろう。

 

外人偏重に関しては、英国国内のファンはさておき、はっきりいって世界中のファンにはどうでもいい話だと思う。とにかく面白ければいいのだ。いまのEPLはとにかくおもしろい。トップリーグでもスペインやドイツ、イタリアなどと違って、首位から最下位まで実力が拮抗しており、いつでもジャイアント・キリングが起こる。そんなリーグ。おもしろくないわけがない。

それが外国人が多いからなのかどうかはわからない。ただ、世界中から選手が参加していることと世界中で観られていることとは無関係ではないよね。近い将来に中国人選手が複数プレイするようなことがあれば、それこそ爆発的にファンも増えるだろう。

 

いまはいなくなっているという英国人リーダーのくだりで、ベルカンプたち?が語ったとされる、

「イングランド人プレーヤーがいたことがキモだった。彼らがいなければ、無敗優勝どころか、プレミアリーグでレギュラーとしてプレーできていたかどうかも覚束ない」

というコメントが、すなわち英国人リーダーがチームにいるべきだと主張する理由なのだとしたら、いささか根拠薄弱ではないだろうか。

だいたい選手だって、勝ったときには誰彼構わず賞賛するんだから、優勝でもしようものならリーダーやチームメイトが賞賛されないわけがないのだ。そりゃ、おそうじオバチャンだって英国人だって賞賛されるさ。

 

「英国人リーダー」がいるチームが勝ちやすいというデータがあるなら話し別だ。英国人でも外人でもファンはとにかく強いチームが見たいのだから。コージーにアグリーである。

だが、そういったデータへの言及はここにはない。仮にリーダーをキャプテンとするなら(そうと限らないケースもあるだろう)、チームキャプテンが英国人であるチームとそうでないチームの勝率を比較すればいいのだから、データ収集は不可能というわけではなさそうだ。

まあ「リーダー不在」についてはアーセナル界隈でもしばしば話題になるので、リーダーという存在自体がプレイに影響を与えたり、重要であるというのは否定しない。それが英国人のほうがよいかどうかはまた別の話しだ。 

 

そもそも「英国スピリット」っている?

(ちょっとホリエモンみたいな気持ちで書いている )

いつのまにか外国人ばかりになってしまったのは、この記事中にも書かれているとおり即戦力を求めた結果だろう。まるで雇われの外国人監督が悪いような書き方だが、べつに外国人監督じゃなくても、フットボールが国際的なビッグビジネスになった今、そういった流れになるのは止まらなかったのではないか。

このロジックでいうなら、詰まるところ外人オーナーが悪いビジネス化が悪いということになり、グローバルに展開する現代のプロスポーツとしては非常に後ろ向きな話しになってしまう。

もし英国人オーナーが英国人監督で英国人選手を使うのがより望ましいといって成績が低迷でもしようものなら、ファンはもちろん黙っていないだろう。

 

アスレチック・ビルバオのように純血主義を標榜するクラブがもしプレミアリーグに現れたら、それはそれで面白いし一定のドメスティックな人気を博すかもしれない。が、グローバル市場でのビジネスを考えれば、世界中のファンにアピールしないチャレンジをあえてする価値はない。逆に今の世の中でそんなことを行えば右翼的・閉鎖的と批判されるのがおちだ。

 

そもそもプレミアリーグがこの20年くらいの間に、どんどん魅力的に進化していきどんどん世界中のファンを獲得していくなかで、いったい誰が不幸になったというのだろうか。

EPLはスポーツ面でもビジネス面でも成功しまくりなのだ。それもこれも「人」が集まった結果だと思う。 

 

 

相変わらずスポーツ面では、スペインの2強やドイツの1強に肩を並べるクラブが現れないという現実はあるが、それを不幸とはいわないだろう。単に情けないだけ。

 

だがそれにしたって、今シーズンはじめにヴェンゲル監督が「監督の世界選手権だ」と評したように、スペインやドイツ、イタリアから名将と呼ばれる監督たちがこぞってプレミアリーグを目指し、将来を嘱望されたスター選手やその予備軍たちがプレミアリーグへのあこがれを隠さない現状、プレミアリーグのクラブがチャンピオンズを席巻するような日が来るのはあながち夢物語ともいえないのではないか(個人的にはあと最低でも5年はないと思うが)。

 

代表チーム問題

今の外国人偏重というEPLの方向性を憂えている人たちがいるとすれば、それはたぶん右翼的傾向のある英国人ファンとナショナルチームの関係者だけだ。外国人ばかりがプレイするリーグで自国の選手が育たないことを問題だというのはたしかに一理ある。

実際にイングランドを含め、英国4カ国(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)が目覚ましい結果を残した大会というのは近年は記憶にないから、それを外国人のせいだと主張する勢力があったらそれはそれで耳を傾けるべきなのかもしれない。

 

念のためイングランド代表チームの成績を調べてみた。……でも、まあこんなもんか(笑)。少し下がってるか。てかスリー・ライオンズはぼくが知る限りの歴史においてずっーと批判され続けている。

ヨーロッパの主要リーグを擁するスペイン、ドイツ、イタリア、フランスと、どこを取ってもナショナルチームは格上感がある。※直近のFIFAランキングではかろうじてイタリアよりは上のようだ。

 

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Wikipediaより 

 

だがよく考えたら、それはつまり選手のプレイタイムの問題であって、であれば、べつに国内にこだわる必要はなくないだろうか? 自国でプレイできないというなら海外でがんばればいいじゃない。そのほうが異文化に触れて人間としても成長できるだろうし。

そもそも英国人自身が海外でプレイするという選択肢を持たないのはなんでなんだろう。現状のEPLの運営について自国選手の育成という課題があるというなら、そのことはもっともっと問題視されるべきなんじゃないだろうか?

 

英国人はなぜ海外リーグに挑戦しないのか

いまヨーロッパのメジャーリーグで活躍している英国人といえば、ギャレス・ベイルやジョー・ハートくらいしか思い浮かばない。あと誰かいたかな?

 

ぼくが海外サッカーを本格的に見始めたくらいのときは、欧州主要リーグの英国人といえばスティーブ・マクマナマンがレアル・マドリーにいるくらいだった。その後にはもちろんベッカムやオーウェンの例もあるけれど、それだってたぶん数える程度だったと思う。英国人はずっと国内でしかプレイしていないのだ。

 

南米諸国はもちろん、フランスや東欧など選手の輸出国と比べると、英国というのは本当に輸入超過の国である。

つまり英国人選手の育成に関していえば、一番の問題はEPLが外国人に占領されているってことじゃなくて、英国人がとにかく輸出されてないってことなのだ。国内にいるタレントが成長する場を与えられずにくすぶっているということなのだ。「古参のベテラン・イングリッシュ」や「イングランド色」なんてどうでもいいんである。

 

軽くググったらこんな記事があった。ガーディアン「なんでイングランドのやつらは他のリーグにいくのをあんなに嫌がるのかねえ」。

www.theguardian.com

 

えらい長文エントリで、Google翻訳から要約すると

  • アシュリー・コールはローマでがんばった
  • 英国人は気をつけないとアシュリー・コールのようになるぞ
  • アシュリー・コールざまあ
  • オーウェンもスペインで苦労した
  • 英国人はキャリアの初期に結婚してイングランドから出たがらない
  • ジャック・ウィルシャーが海外挑戦するとかマジ想像できない
  • だって英国人はEPLが最高だと思いこんでるし
  • インテルよりハル・シティを選んだトム・インスってのもいた
  • マルセイユはジョーイ・バートンを雇えるだけの金がなかった
  • ジャーメイン・ペナントはスペイン語を覚える気がなかった
  • ジョー・コールもフランスで苦労した
  • 英国人は外国語が怖いんだよ
  • イタリアでのミカ・リチャーズという成功例もある
  • ヨーロッパのフットボールは成長のチャンスだ。ポジティブでオープンマインドで受け入れろ
  • とはいえ、そりゃEPLはバブル絶頂期でわざわざ出ていくやつなんているはずないよね

詳しくは元記事を読もう。

 

日本国内市場だけである程度経済が回ってしまっているから、日本人が海外に出ていかない的な話しかも。なんかあんまり疑問に答えてもらってない気がするなあ。

 

ことばの壁は想像以上にでかいというのはわかる気がする。世界中どこへいっても母国語が通じるんだから、外国語を習得しようというモチベーションは湧きにくいだろう。やっぱりそれが一番の理由なのか?

 

まあいずれにせよ、FAはEPLや下部リーグでプレイする自国選手たちをサポートするのと同じくらいに、若い選手たちの海外挑戦を後押しする必要がある。それだけである。

 

 

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プレミアリーグと英国人選手の未来

外人ばかりのEPLに未来がないとは思わない。もちろん今以上にプレイする英国人選手が減っていくとなれば問題かもしれないが、当面はそんなこともないだろう。だいたいすでにスター選手もスター監督もみんな外人である。

そして英国人選手も彼らに刺激を受けたり、影響を受けたり、「英国独自のフットボール文化」も進化し成長していると見るのが妥当だろう。当然逆に外国人たちがEPLという「カルチャー」に影響をうけるということもあるだろう。まさに異文化交流。

 

ホームグロウン制度については、たしかにもともと自国選手を優遇するための制度で、非ブリティッシュでもホームグロウンを持てるというのは若干理解に苦しむところはある。そういえばなんでなのかな? なぜこういうルールにしたのか、あとで調べてみよう。

 

とにかく、東本さんの記事に戻ると、実力はともかく現在において世界で一番ファンが多い、過去もっとも成功したプロ・フットボール・リーグについて、「どうしてこんなことになってしまったのか」と嘆くのはちょっとよく理解できないなと。

 

いや、現地事情に明るい東本さんの記事はぼくには貴重なので、どこかで見つければ毎回楽しみに読んでいるのだけれど、今回は要するに「昔は良かった」タイプの記事に読めてしまったので、にわかファンが長文で反応してしまったのである。