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Arsenalとその他もろもろ

「トップ下」は英語で何という?

フットボール

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「トップ下」。それは日本のサッカーの世界で特別な意味を持つことば。翼くんがストライカーではなくトップ下の選手であったことは偶然ではない。ゲームの中心にいつもいて、ゲームの流れをつくっていくゲームメーカー、それが「トップ下」と呼ばれるポジションの選手である。

 

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4-2-3-1 (ManU)

 

現時点でヨーロッパでも主流の4-2-3-1などのフォーメーションでその役割が採用されるが、4-4-2などに代表されるようなフォーメーションではトップ下というポジション自体が存在しない。また、近年英国プレミアリーグでも3バックを選択するチームが出てきたように(3-4-3や3-5-2)、戦術の幅も拡がり、CFの後ろに守備力のないゲームメーカータイプの選手を置く傾向は減りつつある。

 

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4-4-2 (Southampton)

 

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3-4-3 (Chelsea)

 

Jリーグ開幕以来、カズ以降の中田、中村、本田や香川など、日本でもしばらくトップ下を志向する選手がスター扱いをされてきた歴史が長く続き、まるでトップ下=花形ポジションとでもいわんばかりの状況になっていたが、現代フットボールの世界においては必ずしも主流派ではない。

 

「トップ下」ということばは海外で通じるのか?

「トップ下」。意外なことにこれをそのままそっくり英語で表すことばはない。

 

同じポジションの選手を指すことばとしては、「No.10(10番)」や「Behind the striker(ストライカーの後ろ)」といった表現がされる。日本でたまに聞く「シャドウ・ストライカー」という表現もあまり英国では聞いたことがない。

 

「No.10」の意味合いとしては、もちろんセンターフォワードの真後ろのポジションということになるが、その選手について「No.10」という呼び方をする際には、同時に攻撃時にポジショニングの自由が与えられているプレイヤーというニュアンスがある。規律よりも創造性を発揮すべき立場ということだ。

また、同じ攻撃的な選手でもサイドの選手に比べると守備の要求が厳しくないという特徴もある。これは単純に、サイドの選手が守備時にはほとんど最前列から最後尾まで戻らなければならないのと比べて、守備時の移動距離が短いからともいえる。多くのNo.10的資質をもった選手がサイド(ウイング)をやりたがらない理由でもある。

 

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サイドが大嫌いなメスト・エジル選手

 

さてそのほかの英国で通じないであろうポジションの呼称はといえば。

 

「ボランチ」はセントラル・ミッドフィルダー?

これも英国でけっして聞くことのない呼称だ。そもそもポルトガルから輸入されたサッカー用語で英語ではない。

kotobank.jp

 

ボランチ(〈ポルトガル〉volante)

《自動車などのハンドルの意》サッカーで、中盤で相手の攻撃の芽を摘み、深い位置からゲームを組み立てるポジション。また、そのプレーヤー。→ディフェンシブハーフ (小学館 デジタル大辞泉)

 あるいは、

ボランチ【volante】

〔ハンドルの意〕
サッカーで、中盤に位置し比較的自由に動いて、相手の攻撃を早期に潰し、味方の攻撃の起点となる働きをする選手。 (三省堂 大辞林 第三版)

 

これに変わる英語は、CMF(セントラル・ミッドフィルダー)あるいはDMF(ディフェンシブ・ミッドフィルダー)。ストライカーを「No.9」というように、まれに「No.8」という呼ばれ方もされることがある。

 

またNo.10が、ゲームメーカーというよりはセカンドストライカーとして、より得点に絡むことを期待される昨今では、この中盤の真ん中にいる選手が攻撃の重要な役割を担うようになっていて、守備にも攻撃にも中心的に参加することから「Box to box(ボックス・トゥ・ボックス)」という呼ばれ方をされることもある。これはポジションというよりはプレイ・スタイルだが、自陣のペナルティボックスから敵陣のペナルティボックスまでという意味で、とにかく運動量が豊富な選手でないと通用しない。

 

オーソドックスな戦術でいえば、センターバックの前に陣取るアンカータイプと上下動を激しく繰り返しボールに絡んでいくこのボックストゥボックスタイプのコンビが中盤の真ん中でパートナーを組みやすい。

日本でいうボランチはBox to boxというよりは、アンカータイプのことを指すことが多いんだろうか。

ボランチということばが便利すぎて定義があいまいなまま使われている感じはある。

そして、CMFやDMFあるいはB2Bといった呼称は、語呂がわるいためか日本では「ボランチ」やインサイドハーフ、ディフェンシブハーフといったことばより浸透していないように思う。またガラパゴスである。

 

サイドバックはフルバック? センターバックはセンターハーフ?

日本でいうサイドバック(4バックにおける両サイドのディフェンダー)も英国では通じない。英国では、日本でいうサイドバックは「Full back(フル・バック)」と呼ばれる。昔の2バックで守っていたシステムの名残らしい。

なお、左右のフルバックの選手をそれぞれ、「Left back(レフト・バック)」「Right back(ライト・バック)」と呼ぶ。日本で「右サイドバック」などというが、「右バック」のほうが圧倒的に短くていいやすいのに、この呼び方が定着しないのはなぜだろうか。

某巨大掲示板のプレミア系板でもいまだに「RSB」「LSB」などと略語でまでわざわざ「S」を入れる育ちの良い律儀な面々が多いが、逆にそれは英語圏では通用しない。「RB」「LB」が伝わる略語である。

 

そして、古い名残から同じく不思議な呼称になっているのがセンターバック。徐々に中盤から下がってきたという歴史があるらしく、英国ではセンターバックをそのまま「Centre back」あるいは「Centre half(センター・ハーフ)」と呼んでいる。日本でセンターハーフといえば中盤の選手のことなので、とても紛らわしい。

 

 

まあ日本で暮らしているかぎりどうでもいいことなのであるが、プレミアリーグのファンとしては、SNSや現地ニュースなど英語で接する情報が多くなるにつれ、自然と日本で使われる用語のほうに違和感を感じるようになってきている。